どこまでが指導で、どこからがパワハラ?
パワハラの6類型
コラム
2019/10/01
職場のハラスメント対策の強化を柱とした「女性活躍・ハラスメント規制法※」が5月29日に参議院で可決・成立しました。
※正しくは「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」
多くの改正点がありますが、中でも注目されているのはパワハラ防止措置の義務化を含めた「ハラスメント対策の強化」です(中小企業は2年間猶予される予定でその間は努力義務)。パワハラについては、業務上の指導との境界がわかりにくいという声が多く、どういった行為がパワハラになるのか社内で共通認識を持っておくことが大切になります。
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パワハラの定義
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職場のパワーハラスメントとは、次のように定義されています。
同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為
「職場内での優位性」とは、上司から部下へという場合だけでなく、さまざまな優位性が含まれ、同僚間、さらには部下から上司に対しておこなわれるものもあります。
また、「業務の適正な範囲」を超えておこなわれるものがパワハラだと定義しています。業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、「業務上の適正な範囲」でおこなわれている場合にはパワーハラスメントにはあたりません。つまり、パワハラ防止の取り組みは、上司の適正な指導を妨げるものではないのです。
職場でのパワハラを防止し、なおかつ上司が部下に対して躊躇なく必要な指導をおこなうためには、各職場において、何が業務の適正な範囲で、何がそうでないのか、その範囲を明確にして共通認識を持っておくことが大切です。
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パワハラの6類型
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①身体的な攻撃
殴る、蹴るなどの暴行、物で頭を叩くといった行為は「身体的な攻撃」としてパワハラに該当します。
ケガをさせるような暴行でなくても、襟首をつかむ、丸めたポスターで頭を叩く、書類を投げつける、机を蹴る、殴る真似をするなどもそうです
②精神的な攻撃
脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言は「精神的な攻撃」としてパワハラに該当します。
例えば皆の前で些細なミスを叱責する、長時間にわたり繰り返し執拗に叱る、「やめてしまえ」「小学生並みだな」など侮辱することも精神的な攻撃になります。
③人間関係からの切り離し
隔離・仲間外し・無視などは「人間関係からの切り離し」としてパワハラに該当します。
例えば、一人だけ別室に席を移す、話しかけても無視する、陰口を言って悪い噂を流す、送別会に出席させないなどといった行為もこれに該当します。
④過大な要求
業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などは「過大な要求」としてパワハラに該当します。
例えば、終業間際に過大な仕事を毎回押し付ける、新人で仕事のやり方もわからないのに他の人の仕事まで押し付けるといった行為があります。
⑤過小な要求
業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないことは、「過小な要求」としてパワハラに該当します。
例えば、事務職なのに倉庫での梱包作業を必要以上に強要するといったことがあります。
⑥個の侵害
私的なことに過度に立ち入ることは「個の侵害」としてパワハラに該当します。
例えば、交際相手について執拗にたずねる、妻に対する悪口を言う、不在時に机の上やカバンの中を勝手に物色する、携帯電話をのぞき見るといった行為です。
休みの理由や私生活を根掘り葉掘りしつこく聞くことも「個の侵害」にあたる可能性がありますが、業務上必要で休暇の予定を聞くのは問題ありません。例えば、繁忙時期のため可能であれば休暇時期を変更してもらう必要があるといったケースです。
さまざまな防止措置を講じていたにも関わらず起きてしまったパワハラと、防止措置を講じていなかったケースでは会社の責任に違いが生じることになるでしょう。
パワハラは、した人とされた人だけの問題ではありません。パワハラがおこなわれている職場で働く社員全体に大きな悪影響があるということも知っておきたいところです。
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