未払い残業代の消滅時効が2年分→5年分に?! 「賃金の消滅時効」検討会が見解まとめ
コラム
2019/10/01
6月13日、賃金の消滅時効について厚生労働省の有識者検討会が見解をまとめました。
現在、賃金債権の消滅時効は労働基準法で2年と定められており、未払い残業代などの支払いを会社に請求できるのは「過去2年分」となっています。
そもそも、民法においては使用人の給与等に関する消滅時効は1年とされていたのですが、それでは労働者の保護にかけるとして労働基準法において2年と定められた経緯があります。
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民法の大改正で「5年」に
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ところが一昨年、民法の改正により債権の消滅時効が大幅に改正され、2020年4月以降はすべて5年に統一されることになりました※。ここで労働基準法との逆転現象が起きてしまったのです。
※請求できることを知った時から5年、知らなくても10年とされています。
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未払い残業代は過去5年分請求?
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検討会の論点整理案では、「2年のまま維持する合理性は乏しく、労働者の権利を拡充する方向で見直しが必要」という見解でまとまっています。
具体的に何年を時効とすべきかについては、「改正民法と同様に5年にすべき」という意見が出ていました。ただ、労使の意見に隔たりが大きいこともふまえて、今後、労働政策審議会で検討すべきとしています。
もし消滅時効が5年になれば、未払い残業代等は過去5年分請求されるということです(これまでの2.5倍です)。
これは、残業代を支払っていないという自覚のある企業だけの問題ではありません。たとえば、管理職だから残業代は発生しないと考えていたところ、裁判で「名ばかり管理職」と判断され、過去5年分の残業代を支払うことに…といったことも起こりうるのです。
なお、年次有給休暇の消滅時効は現行の2年のままとなりそうです。
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